副 鼻腔 炎。 副鼻腔炎(蓄膿症)の治療法と症状

急性副鼻腔炎

副 鼻腔 炎

慢性副鼻腔炎 1)慢性副鼻腔炎とは 慢性副鼻腔炎(まんせいふくびくうえん)は頭部の含気腔(空気で占められる空洞)に細菌の炎症により膿の貯留や粘膜の腫れが生じる病気です。 以前は"蓄膿症"と呼ばれていました。 2)原因とは• ウイルス感染後の細菌感染• 気圧変化 3)かぜに類似した症状を示します 症状は感冒と類似しており、増悪寛解を繰り返すことが特徴です。 また慢性副鼻腔炎には鼻ポリープが高率に合併します。 最近の慢性副鼻腔炎は、従来の典型的症状である膿性鼻漏以外にも、アレルギの要素が加わったり、嗅覚障害や頭痛、眼症状などの様々な症状や病態が混在するようになっています。 また小児では鼻症状だけでなく、眼瞼腫脹、啖や咳を伴うことが特徴です。 4)放置するといろいろな病気を引き起こします 中耳炎や呼吸障害などの他の病気の原因ともなります。 特に中高齢者は年齢とともに肺機能が低下し、慢性副鼻腔炎の合併によって快適な日常生活にも支障が生じる可能性もあり、早めの治療を推奨します。 5)診断にはX線検査やCTが必要です• 診断(定義)• 3ヶ月以上持続する鼻の症状• 画像診断による副鼻腔陰影の存在• 補助診断• 鼻汁スメア:鼻水を顕微鏡で観察• アレルギー検査:アレルギーの原因検索• マクロライド抗生剤• 少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)• 慢性期の非アレルギー性炎症• 粘液融解剤• 慢性期の非アレルギー性炎症• 自他覚所見にあまり影響なし 副鼻腔の感染・鼻副鼻腔炎 薬物療法 6)薬剤の種類と選択基準• 抗生物質• 急性の細菌感染による増悪期• 細菌培養検査と抗生剤感受性検査• マクロライド抗生剤• 少量長期療法(通常の半分量、2から3ヶ月投与)• 慢性期の非アレルギー性炎症• 粘液融解剤• 慢性期の非アレルギー性炎症• 自他覚所見にあまり影響なし• 抗ヒスタミン剤と抗ロイコトルエン剤• アレルギー性素因を背景に有している症例• ステロイド内服剤• 全身投与は著しい好酸球浸潤を伴う高度の難治性ポリープ病変に短期間のみ使用• 好酸球性副鼻腔炎、アスピリン喘息、アレルギー性真菌性副鼻腔炎が相当• ステロイドの点鼻薬• 鼻ポリープ症例に適応 投与前/投与後・マクロライドの作用機序 鼻洗浄 7)局所療法としてネブライザーと鼻洗浄も有用 診療所・病院での薬剤によるネブライザーや自宅での温かい生理的食塩水による鼻洗浄も局所療法として推奨できます。 朝晩の洗浄により鼻腔の炎症性分泌液を排除し、鼻茸の縮小、再発予防が可能です。 鼻洗浄のための種々な器具として電動型鼻洗浄治療ネブライザー(リノフロ R )、手動式ポンプによる鼻洗浄器(エネマシリンジ R )、携帯型が市販されています。 副鼻腔を洗浄する方法としては下鼻道経由の上顎洞穿刺やYAMIKカテーテルを用いる方法があります。 携帯型鼻腔洗浄スプレー・薬剤に夜ネブライザー・手動式ポンプによる鼻洗浄器 手術療法 手術療法 8)内視鏡による画期的な手術が主流 従来の慢性副鼻腔炎の手術法は上口唇の裏の粘膜を切り、さらに頬の骨を削るもので、術後の顔面のしびれや腫れが起きました。 新しい手術法は内視鏡を用いて鼻の穴から副鼻腔の病的な粘膜やポリープを除去する画期的なものです。 従来の方法に比べて、患者さんの手術への負担は軽くなります。 病気が軽症の場合は入院しないで、外来での手術も可能になり、忙しい方には福音です。 手術前/手術後 9)内視鏡による手術の成績は75%以上 今までに手術を受けていない初回手術例に対しての自覚的な症状の改善率は75~98%と満足な結果が得られています。 術後成績は短期間の内服ステロイド剤や少量長期間のマクロライド剤とステロイド噴霧剤、外来処置によってさらに向上できます。 一方、再手術例、喘息合併例、高度病変例は治癒率の低下が指摘されています。 副損傷の発生頻度では高度副損傷は0~2. 7%で、軽度副損傷は5. 0~15. 1%で、そのうち眼窩損傷が占める割合はどちらも約半数程度と高い頻度を示しています。 こちらも併せてご覧ください.

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副鼻腔炎(蓄膿症) タバコは出来るだけ止めた方いい理由

副 鼻腔 炎

副鼻腔とは? そもそも 副鼻腔とは、頬、両目の間、額の下にある骨に囲まれた空洞のことです。 篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、前頭洞(ぜんとうどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の 計4対の副鼻腔があり、それぞれ鼻の中(鼻腔)とつながっています。 副鼻腔の表面は粘膜で覆われ、せん毛と呼ばれる細かい毛が生えており、外部から侵入してきたホコリや細菌、ウイルスなどを粘液とともに外へ運び出す役割を持っています。 副鼻腔炎の原因 一般的に副鼻腔炎は、 風邪などによってウイルスや細菌などが鼻腔に感染し、引き起こされた炎症が副鼻腔まで広がることで引き起こされる病気です。 ほとんどの場合 1〜2週間ほどで治り、 急性副鼻腔炎と呼ばれます。 いわゆる鼻かぜという状態です。 しかし放っておいたり、きちんと治療しなかったりすると、 症状が長期化・悪化してしまい、 慢性副鼻腔炎になってしまうことがあります。 いわゆる「ちくのう症」のことですね。 本来なら副鼻腔に溜まった膿は、鼻腔に流れ排出されて、症状も快方へ向かいます。 しかし、 炎症の悪化によって副鼻腔と鼻腔がつながっている部分が腫れ、副鼻腔に溜まった膿が排出されにくくなってしまいます。 その結果、細菌感染が繰り返されて症状が長期化・悪化してしまうのです。 一般的に3ヶ月を超えて症状が続く場合を慢性副鼻腔炎と呼び、長期的な治療が必要となるケースも少なくありません。 その他にも、 アレルギー性鼻炎やぜんそくの疾患を持っていたり、鼻中隔(鼻の中を左右に仕切る壁)が曲がっていたりする場合、副鼻腔炎を引き起こしやすくなります。 また、ぜんそく患者さんには難治性の副鼻腔炎 好酸球性副鼻腔炎 を認めることもあります。 また、 遺伝的な原因も強く、両親が副鼻腔炎の場合、子どももかかることが多いとの研究結果もあります。 副鼻腔炎の症状 副鼻腔炎によって引き起こされる、おもな症状を紹介しましょう。 鼻づまり 炎症によって 粘膜が腫れて鼻水が流れにくくなったり、鼻水が粘り気を帯びたりすることで、鼻がつまりやすくなってしまいます。 鼻水、後鼻漏 はじめのうちは透明なサラサラとした鼻水ですが、 副鼻腔の炎症が悪化し膿や分泌物が溜まると、粘り気のある黄色や緑の鼻水へと変化します。 よく「色のついた鼻水は細菌が混ざっているから」といわれますが、じつはそれは間違いなんです。 粘膜がはがれ落ちたものや、含まれる白血球が増え、それらに色がついているため鼻水の色も変化する、というのが正解です。 さらに、 いくらかんでもかみきれないほどの鼻水や、いやなにおいのする鼻水が出ることも多くみられます。 とくに慢性副鼻腔炎の場合、 鼻水がのどの方へ流れる「後鼻漏(こうびろう)」がみられることも多く、 咳や痰、のどの違和感を引き起こします。 頭痛や顔面痛 目の付近や頬や歯、額、頭など、 副鼻腔内のどの場所に炎症が起こっているかによって、痛みがあらわれる場所は異なります。 とくに 急性副鼻腔炎では痛みが強く感じられます。 一方、 慢性副鼻腔炎では痛みよりも、頭の重さや疲労感といった症状があらわれる場合が多くみられます。 鼻ポリープ(鼻茸) 副鼻腔の炎症により、 粘膜の一部が鼻ポリープ(鼻茸)となってしまう場合もみられます。 逆に 鼻ポリープが原因となって、副鼻腔炎を引き起こしてしまうこともあります。 慢性副鼻腔炎の1〜2割程度の患者さんにみられ、 できる数も1つとは限りません。 悪性ポリープではないものの、 鼻づまりや鼻水、臭覚障害、頭痛などを引き起こします。 内視鏡手術によって取り除く場合もありますが、薬物療法で小さくできるケースもあります。 咳や痰 副鼻腔の炎症がのどへ広がることや後鼻漏が原因で、咳や痰の症状が多くみられます。 逆に、 のどの炎症が副鼻腔へ広がり、副鼻腔炎の原因となる場合もあります。 かぜが治っても咳や痰が続く場合は副鼻腔炎が原因の場合もあります。 臭覚障害 鼻の粘膜に炎症が起こることで 匂いの分子が感知されにくくなったり、匂いを感知する神経に異常が発生したりして、臭覚障害が引き起こされることもあります。 前述したように 鼻ポリープによって、匂いが感じにくくなってしまうケースもみられます。 副鼻腔炎は合併症を引き起こすことも 副鼻腔炎は放っておくと悪化して、合併症を引き起こすことがあります。 とくに、中耳炎には注意が必要です。 耳と鼻は耳管を通じてつながっているため、 鼻の炎症が耳(中耳)に感染したり、耳管のはたらきを悪くしたりすることで、中耳炎を引き起こしてしまうことが少なくありません。 さらに、 まれではありますが炎症が目や脳に及び、目の痛みや視力障害、脳膿症や髄膜炎を引き起こしたり、脳の炎症の場合、重い後遺症や死に至るケースもみられます。 いずれにしても、 副鼻腔炎は放置せず、しっかりと治療することが重要です。 副鼻腔炎の検査 副鼻腔炎の疑いがある場合、耳鼻咽喉科を受診しましょう。 診察ではまず問診をおこなった上で、次のような検査がおこなわれます。 鼻鏡や内視鏡による検査 まず、 鼻鏡とよばれる鼻の内部をみる医療器具や内視鏡を使って、粘膜の腫れの度合いや鼻水の状態などを確認します。 レントゲンやCT、MRI検査 鼻の状態をよくみた上で、 必要があればレントゲンやCT、MRIといった画像検査をおこないます。 炎症が起きている場所や、炎症の広がりなどを正しく確認するためです。 また腫瘍性病変や真菌 カビ による副鼻腔炎などとの鑑別を行う目的もあります。 細菌検査 炎症の原因となっている細菌の種類を調べるためにおこなう検査です。 鼻腔やのどの奥に細長い綿棒を突っ込んだり、吸引装置を使ったりして鼻水を採取し、検査をおこないます。 副鼻腔炎の治療法 それでは副鼻腔炎にかかったら、どのような治療がおこなわれるのでしょうか? 薬物治療 急性副鼻腔炎の場合には、 まず症状を抑える薬が処方され、症状の程度によっては抗生剤が処方され、一般的に服用期間は2週間以内です。 一方、 慢性副鼻腔炎の場合では少量の抗生剤が処方され、1〜3ヶ月ほどの長期間に渡って服用します。 いずれの場合も、 あわせて鼻水や痰を出しやすくする薬が処方されることも多くあります。 鼻吸引や鼻洗浄 鼻水が溜まったりつまったりしている場合には、吸引して取り除きます。 また鼻腔から副鼻腔へ細い管を通し、 生理食塩水を注入して副鼻腔内を洗浄することもあります。 ネブライザー療法 抗生剤などを含んだ薬液を霧状にして、鼻から吸い込む治療法です。 鼻吸引や鼻洗浄をおこなったあとにネブライザーをおこなうと非常に効果的です。 内服する場合に比べて 使用する薬も少量ですむため、副作用が少ないという特徴もあります。 手術療法 いずれの治療法も効果があらわれない場合、炎症を起こしている粘膜部分や鼻ポリープを取り除く手術をおこなうこともあります。 以前はメスを使って切開する外科的手術が一般的でしたが、 近年では内視鏡での手術を行う施設がほとんどです。 手術後も定期的に通院し、薬物療法やネブライザー療法などを続ける必要もあります。 副鼻腔炎にならないためには? 副鼻腔炎にならないためには、日常生活の中でどのような点に気をつけるとよいのでしょうか? できるだけ風邪を引かない・鼻水や鼻づまりを長引かせない 副鼻腔炎の 原因の多くが風邪を引くことです。 普段から手洗いうがいをやバランスのよい食事、規則正しい生活を心がけましょう。 もし 風邪を引いてしまい、鼻水や鼻づまりが長引く場合には、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診することも大切です。 またたばこの影響もありますので禁煙及び間接喫煙を防ぐようこころがけましょう。 鼻のかみ方に注意 鼻を勢いよくかんでしまうと、鼻の細菌が耳管を通じて耳に入り込んでしまい、中耳炎の原因となってしまうことがあります。 他にも鼻血が出たり、耳が痛くなったりすることもあるため、 鼻はゆっくりとかむようにしましょう。 片方ずつ、少しずつかむことがコツです。 とくに子どもは鼻のかみ方が下手な場合が多いので、注意してみておきましょう。 鼻を自分でかめない小さな子どもの鼻がつまっていて苦しそうな場合には、市販の鼻吸い器を使って吸い出してあげるとよいですね。 子どもの様子をチェック 子どもは自分から症状を訴えるのが苦手なので、様子を注意深くみてあげることで、身近な大人が気づいてあげるようにしましょう。 頻繁に鼻をすすっていたり、痰が絡んだような咳をしていたり、またはいびきがひどいなどの子どものサインを見逃さないことが、重症化しないためには大切です。 まとめ 身近な副鼻腔炎ですが、 悪化すると睡眠を妨げたり、集中力が落ちたりと、日常生活の質の低下も引き起こしてしまいます。 風邪が治ったのに、鼻水、 鼻づまり、咳、痰がいつまでも長引いているなら、副鼻腔炎かもしれません。 慢性副鼻腔炎の場合には 治療が長期化することもありますが、完治するまで根気強く通院することが大切です。 鼻の違和感に気づいたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診し、治療をはじめることをおすすめします。

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副 鼻腔 炎

1. 副鼻腔炎とは 副鼻腔炎とは、読んで字のごとく「副鼻腔」という場所に「炎症」が起きる病気です。 鼻の穴 鼻腔 は、いくつかの空洞と隣接しており、これが副鼻腔です。 具体的には、• 前頭洞 ぜんとうどう• 篩骨洞 しこつどう• 上顎洞 じょうがくどう• 蝶形骨洞 ちょうけいこつどう の4つです。 ウイルスや細菌といった病原体が鼻の穴に入り込むと、炎症を起こします。 いわゆる「かぜ」のことです。 多くのケースでは、1週間程度で鼻の中から病原体はいなくなり回復に向かいますが、ときに副鼻腔にまで炎症がとびひするケースがあります。 副鼻腔炎の多くは、こうした仕組みで生じます 1。 今説明したような、かぜに引き続く形で生じるようなタイプの副鼻腔炎を特に「 急性副鼻腔炎」といいます。 後述するように、急性副鼻腔炎は適切な治療により1週間程度で治癒に向かいます。 しかし、これもまた後述するように、いろいろな条件が重なった場合、副鼻腔の炎症が長引くことがあります。 こうしたものを「 慢性副鼻腔炎」と呼びます。 症状について 副鼻腔で炎症が起こることで、典型的には次に挙げるような症状があらわれます。 分泌物は鼻水という形で出てきますが、この場合の鼻水は粘りや色があるのが典型的です。 また、これに伴い変なにおいがしたり、においを感じにくくなったりすることもあります。 そのため、副鼻腔炎でも痛みが生じることがよくあります。 しかし、鼻の痛みという形で現れるよりも、その周辺が痛むのが一般的です。 というのも、副鼻腔は鼻の穴から枝分かれするような形をしていますから、痛みが生じる部分も少し鼻から離れるからです。 例えば、上で挙げた「篩骨洞」は、目頭付近に位置しています。 したがって、ここが病巣になっている副鼻腔炎では、目のあたりに痛みを自覚することが多いものです。 これを「 鼻ポリープ」または「 鼻茸」と呼びます。 これの有無によって、特に慢性副鼻腔炎の治療方針が変わってくる点で重要です。 ここからは、急性・慢性に分けてそれぞれの治療について、薬を中心に説明します。 2. 急性副鼻腔炎の治療 先ほども書きましたが、急性副鼻腔炎は典型的には風邪に続くかたちで発症します。 つまり、風邪の延長線上にある病気ともいえます。 風邪は、主に病原体であるウイルスがのどや鼻に入り込むことで生じます。 副鼻腔炎では、その名の通り副鼻腔で炎症が起きることは繰り返し述べていますが、その原因となっているのが、こうした病原体というわけです。 したがって、これを除去することが急性副鼻腔炎の治療に役立ちます。 この他に、直接炎症を軽減する薬や、痛みなどの症状を緩和する薬などを補助的に使用する、というのがおおまかな治療の枠組みとなります。 2-1. 抗菌薬 抗菌薬とは、細菌を死滅させたり、これの増殖を阻止する効果を持つ薬のことです。 「 抗生物質」の呼び方の方がよく知られているかもしれません。 このグループの薬は、炎症を起こす原因となっている病原体を除去する目的で使用するものです。 しかしながら、ここで重要な注意点があります。 さきほど、病原体の例として「ウイルス」と「細菌」を挙げました 厳密には、他の種類の病原体もいますが、風邪や副鼻腔炎の原因となるのは主にこれら2つです。 そして、 抗菌薬はウイルスには効きません。 有効なのは細菌に対して、だけです。 したがって、副鼻腔炎を起こしている病原体が細菌であるなら抗菌薬を飲むことは有効ですが、ウイルスが原因の場合は無駄な薬を使うことになります。 そのため、事前に診察をしっかり行い、抗菌薬が効くか効かないか見極めることが大切です。 副鼻腔炎の原因がウイルスか細菌かを見分けることは、必ずしも容易ではありませんが、一般的な傾向として急性副鼻腔炎の 軽症例はウイルス性が多く、中等度より重症なケースでは細菌性が多いことが知られています 1。 こうしたことから、軽症では抗菌薬は使わず 一部の例外を除いてウイルスに効果的な薬はないからです 、中等度以上では抗菌薬を使うアプローチが主流です。 具体的にどのような薬を使うのかですが、もっとも汎用されるのは「 ペニシリン系」という古典的な抗菌薬です 1, 2。 なぜわざわざ古い薬を使うのかといえば、副鼻腔炎を起こしやすい菌に対して効果が高いのが、このグループの薬だからです。 抗菌薬は、ものによって効きやすい菌とそうでない菌があるのが普通です。 そのため、その病気を起こしやすい菌に対して効果の高い薬を選択する必要があります。 副作用は、薬によって異なりますが、共通して比較的高頻度に認められるのは下痢です。 副鼻腔炎においては抗菌薬を少し長めに継続する必要があるのが普通ですから、あまり程度のひどい下痢が生じた場合には現実的にその薬を続けることができなくなることも考えられます。 このあたりは、突き詰めれば程度問題なので、起きた場合は医師・薬剤師に相談するようにしてください。 今、急性副鼻腔炎に対して抗菌薬を使う場合、薬を飲む期間が少し長めになることが普通だと書きました。 どのくらいの期間を使えば良いのかは、必ずしもはっきりしていないのですが、だいたい7-10日程度薬を出されることが多いと思います 1。 ときおり、「こんなに長い間薬を飲んで大丈夫なんだろうか?」と心配になる方がおられますが、今述べた程度の期間ならある意味相場通りなので、過度に心配することはないでしょう。 どうやってもその程度は治るまでにかかる、と考えておくのが無難です。 代表例• ペニシリン系• セフェム系• キノロン系• マクロライド系 2-2. 点鼻ステロイド 主に海外で選択されている治療法です 2, 3。 液体や粉状にした薬を、スプレーのような器具を使って鼻に直接噴射することで投与する方法で、鼻の炎症を鎮める効果があります。 薬には、どんな病気や症状に対して使用できるのかがあらかじめ決められており、これを「 適応症」といいます。 点鼻ステロイドは海外でよく使用される治療法といいましたが、逆にいえば日本ではそれほど一般的でないということで、その理由の一つがこの適応症です。 というのも、日本で販売されている点鼻ステロイドには、副鼻腔炎を適応症に持つものがないからです。 もっともこれは制度上の話で、だからといって医学・薬学的に効果がないということにはなりません。 制度と現実とにギャップが存在する例といえるでしょう。 そういうわけで、日本における使用頻度は低めになりますが、抗菌薬の補助として併用される例もあります。 代表例• フルチカゾン• モメタゾン• デキサメタゾン• ベクロメタゾン 2-3. 鼻水を出しやすくする薬 鼻水に含まれる粘液成分の粘りをとったりすることで、排泄を助ける薬です。 俗に「痰切り」ともいわれるグループで、こちらの呼び名の方がなじみ深いかもしれません。 いわゆる対症療法にあたり、副鼻腔炎を治す上で必須というわけではありませんが、抗菌薬などの補助を目的に併用されることがあります。 代表例• カルボシステイン• アンブロキソール• ブロムヘキシン 2-4. 痛み止め これも対症療法目的の薬です。 副鼻腔炎の際によく起きる、顔面の痛みを鎮めるために使用します。 一般によく見られる副作用は、胃の痛みなどですが、これは下記のアセトアミノフェンでは少な目です。 このほか、種類によっては腎臓に負担をかける物があるので、使用する前に持病などを医師・薬剤師に伝えて問題ないか確認してもらってください。 副鼻腔炎に対して使うときの特別な注意点として、 アスピリン喘息が挙げられます。 これは、下で挙げている「NSAIDs」というグループの痛み止めを飲むことで起きる喘息発作のことです。 特定のタイプの副鼻腔炎は、アスピリン喘息を持っている人で発症する頻度が高いことが知られています。 そのため、副鼻腔炎の痛みを抑えようと薬を使ったところ、逆に喘息発作を起こしてしまう、という結果につながる可能性が高くなります。 こうしたことを避けるためにも、薬を使用する前に医師・薬剤師からよく説明を受けることが特に重要であると、重ねて強調しておきます。 代表例• 非ステロイド性抗炎症薬 NSAIDs• アセトアミノフェン 3. 慢性副鼻腔炎の治療 急性副鼻腔炎では、原因となっている病原体を除去する治療が重要でした。 一方で、慢性副鼻腔炎でもこうした病原体の除去は治療における重要なポイントです。 また、それに加えて副鼻腔炎への通路が何らかの原因で詰まったり、狭くなったりしていることが多く、これを解消することも大切になります 4。 今、「何らかの原因」と書きましたが、これにはすでに述べた病原体の感染やアレルギー、鼻ポリープなどがあります。 逆にいえば、こうした事情がベースにあるために、副鼻腔炎が慢性化している側面があるともみなせます。 つまり、急性副鼻腔炎とはやや治療の戦略が異なります。 3-1. マクロライド系抗菌薬の少量長期投与 さきほどから説明している抗菌薬の中に、「 マクロライド系」と呼ばれるグループがあり、慢性副鼻腔炎でよく使用されます。 ただし、普通の使い方とは少し違った投与法が選択されるのが特徴です 5。 その特徴とは、 普通に使う量の半分程度を飲むことです。 また、一般的な感染症に抗菌薬を使う場合、使う期間はたいてい週単位くらいのものですが、この場合は 2-3 カ月とかなり長期間にわたって使われます。 以上のような特徴から、こうした使い方をマクロライド系抗菌薬の「少量長期投与」と呼びます。 「それって、量を減らしてダラダラ使うってことでしょ?そんなことしたら効かないのでは?」と感じるかもしれません。 確かに、抗菌薬にはそれぞれ効果を最大化するような使い方があり、一度に大量投与する代わりに服用の頻度を減らした方がよいものや、その逆に一回あたりの投与量は少な目で頻繁に飲んだ方がよく効くものなどがあります。 マクロライドの少量長期投与は、この薬が菌を退治する効果を発揮するうえで、最適な方法ではありません。 ところが、マクロライド系には、抗菌薬として本来の効果である菌を退治する効果のほかに、炎症を直接鎮めたり、粘膜を正常化する作用もあることが知られています 5。 少量長期投与は、こちらの作用を主に期待する使い方です。 日本においては、慢性副鼻腔炎の治療に薬を使う場合、たいてい最初に考慮される方法です。 代表例• エリスロマイシン• クラリスロマイシン• ロキシスロマイシン 3-2. ステロイド 急性副鼻腔炎のところでも説明した薬です。 そこでは鼻の中に直接噴射するタイプの薬を取り上げましたが、慢性副鼻腔炎の場合、これに加えて飲み薬も使用されることがあります。 ステロイドには炎症を直接鎮める効果があるほか、特に点鼻タイプについては鼻ポリープのサイズを小さくする効果が知られています 6, 7。 したがって、ポリープにより鼻の通り道がふさがっている場合などに特に効果的と考えられます。 4 . 薬以外の治療法について ここまでは、薬をもらって帰って自宅で行う治療について紹介しましたが、もちろん副鼻腔炎にはそれ以外の治療法もあります。 いずれも直接的に鼻の中をきれいにする処置です。 急性・慢性を問わず行われる治療法です。 飲み薬の場合、身体に吸収された薬の有効成分は血液を介して全身に回るので、効果を期待する部位には投与した一部しか届かないのが一般的です。 これに対して、ネブライザーのように患部に直接適用する方法は、その部位に薬を集中させることができ無駄が減るほか、余計な副作用を減らすことにもつながるメリットがあります。 その性質上、ある程度鼻が通っていないと効果が薄いので、上記の鼻処置とセットで行われることが多いといえます。 最近では、鼻から内視鏡を入れて行う方法が主流になっています。 5. 副鼻腔炎に使用されることのある市販薬 市販の薬の中には、よく見ると「効能・効果 効果のある病気や症状のこと 」の欄に「副鼻腔炎」や「蓄膿症」と書かれているものが、実は結構な数あります。 ちなみに、 「蓄膿症」とは 特に慢性 副鼻腔炎の俗称です。 こうした市販薬をおおまかに分類すると、• 漢方薬• 抗アレルギー薬• 点鼻薬 となります。 あらかじめ断っておきますと、市販薬に含まれる有効成分が副鼻腔炎にどの程度効果的であるかは、十分に検討されていないのが現状です。 それゆえに、 市販薬だけで副鼻腔炎を何とかしようとするのは、はっきりいっておススメしません。 さきほども書いたように、重症度によって適切な治療も異なってきますが、副鼻腔炎の重症度は、症状だけからは判断できませんから、鼻を直接診察する必要があります。 これには、耳鼻科を受診するのが最適です。 また、耳鼻科では先ほど触れた鼻処置やネブライザーなど、各種機械類を使った処置を受けることができ、これも副鼻腔炎の治療に役立ちます。 こうしたことから、 自覚症状から副鼻腔炎が疑われる場合でも、すぐに市販薬を使うことはせずに、一度耳鼻科に受診することが大切です。 そのうえで、補助的に市販薬を使うことは必ずしも否定されるものではありませんが、耳鼻科から出される薬と重複するケースもあるので、事前に必ず医師や薬剤師に確認するべきです。 5-1. 漢方薬 鼻炎を鎮めることで鼻通りをよくしたり、膿を減らす効果があると考えられている漢方処方が販売されています。 具体的な漢方名をいくつか挙げると、次の通りです。 辛夷清肺湯• 葛根湯加川きゅう辛夷• 防風通聖散 とはいえ、病原体によって生じた副鼻腔炎の場合などでは、これだけではどうしようもないのが実際のところです。 加えて、漢方は同じ薬でも人によって「あう・あわない」の差が激しいのが普通ですから、購入する前にその適否を薬剤師に評価してもらうのがよいでしょう。 5-2. 抗アレルギー薬 特に慢性副鼻腔炎では、アレルギーが鼻詰まりの原因となっていることがよくあります。 そうした場合、アレルギーを抑える薬を使うと鼻通りがよくなり、症状の改善が期待できます。 しかしながら、鼻詰まりの原因が何であるかは、実際に鼻の中を見てみないとわかりません。 そのため、アレルギーが原因と思っていたら、実はそうではなかったということが十分に起こりえます。 その場合、見当違いの薬を使うことになりますから、効かないことになります。 そのため、繰り返しですが先に耳鼻科を受診した方が、結果的には早道となる可能性が高くなります。 なお、抗アレルギー薬は、耳鼻科でも処方されることがあります。 5-3. 点鼻薬 市販されている点鼻薬には大きく2種類あり、一つは先ほど紹介したステロイドを含んだもの、もうひとつは鼻粘膜の血管を収縮させて、鼻づまりを改善する成分 血管収縮剤 を含んだものです。 前者については、先ほど触れましたので、ここでは後者について述べます。 血管収縮剤は即効性があり、使うといかにも「効いたな」という感じがするものです。 しかし、 この薬は使い過ぎると逆に鼻を詰まりやすくしてしまいます。 こうした点は、私を含めた薬剤師はほぼ必ず説明するものですが、それでも適切な回数を超えて使ってしまう人がかなりいます。 やはり、目に見えた効果が得やすい分、ついつい頼りがちになってしまうのでしょう。 こうなると、その後の治療にも悪影響が出かねませんので、どうしても使用したい場合は、必ず事前に医師・薬剤師に相談するようにしてください。 6. まとめ ここまで説明してきたように、副鼻腔炎の治療方針は急性・慢性とでそれぞれ若干異なります。 しかし、いずれにしても物理的に鼻の中をきれいにする鼻処置が重要であること、治療方針に影響する重症度などを評価するために鼻の中の診察を行うことが大切であることから、これらを行える場所である耳鼻科を受診するのが肝要です。 副鼻腔炎は急性と慢性に大別され、それぞれ治療方針がやや異なる• 急性副鼻腔炎は病原体の関与が大きく、これを除去する治療が大切である• 慢性副鼻腔炎は、感染以外にアレルギーや鼻ポリープなどが影響することが多く、これらに対する治療も必要になることがある• 副鼻腔炎で抗菌薬を使う場合、急性・慢性問わず、その期間は長くなる傾向にある• 副鼻腔炎を市販薬だけで治療することは、勧められない 参考文献 1 日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版 2 Kaplan A, Can Fam Physician. 2014 Mar;60 3 :227-34. PMID: 24627376 3 Zalmanovici Trestioreanu A, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Dec 2; 12 :CD005149. PMID: 24293353 4 Kaplan A, Can Fam Physician. 2013 Dec;59 12 :1275-81, e528-34. PMID: 24336538 5 Shimizu T, et al. Auris Nasus Larynx. 2016 Apr;43 2 :131-6. PMID: 26441370 6 Jankowski R, et al. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2001 Apr;127 4 :447-52. PMID: 11296057 7 Stevens WW, et al. J Allergy Clin Immunol Pract. 2016 Jul-Aug;4 4 :565-72. PMID: 27393770.

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